「不思議惑星キン・ザ・ザ」を見た

評価★★★★★

-あらすじ
1980年代、ペレストロイカを控えた冬のモスクワ。マシコフは仕事から帰ったばかりだったが、妻に買い物を頼まれ仕方なく街へ出かけた。すると、自分は異星人だと言い張る裸足の男が、グルジア人の学生ゲデヴァンに助けを求めていた。男は空間転移装置の故障で星に帰ることができないと話すが、マシコフもゲデヴァンも信じていない。二人は冗談半分で男の空間転移装置をいじってしまい、キン・ザ・ザ星雲惑星プリュクへ飛ばされてしまった。

※以下ネタバレアリの考察です。

ポストヒューマン的世界観


惑星プリュクの人間は「クー」という言葉だけで意思疎通をすることができ、電話機も頭の中で番号を思い浮かべるだけで動作しています。これはすべての人間の脳がネットワークで接続されるユビキタスコンピューティングを連想させます。

動物で言えば、イルカも「キュー」と泣きますが、イルカは脳の中の思考をそのまま波長に変換して話しているのです。

時間遡行について


物語の中では、時空転移装置を使えば、時間を消費せずに地球からプリュクへ移動できました。地球とプリュクのちょうど中間にα星が位置していて、地球からα星までの距離は現実世界では4.367光年なので、地球とプリュク星の距離は約9光年になります。もし光の速度で移動したとしても、この距離を進むには9年かかってしまうでしょう。

 プリュクの加速器はグラビツァーノと呼ばれ、これがプリュクからα星までの4.367光年のワープを可能にします。おそらく空間転移装置にも、重力を用いて空間を捻じ曲げるワープ航行が使われていると思われます。 また、プリュクの人は空間を捻じ曲げることはできますが、裸足の男が時間の経過を気にしていたことから、時間遡行まではできないということがわかります。
 しかしα星の人間は、空間だけではなく、時間を過去に戻すこともできました。つまり彼らは時空間を自由に操れる、4次元的存在なのです。

地球=α星=キンザザ星雲?


α星の植生は地球と同じものに見えました。また、プリュク星も地球文明と全く同じ構造物が砂の中に埋まっています。
これは完全に私の妄想なのですが、地球とα星、プリュク星は同じ星なのではないでしょうか?それは猿の惑星のようなもので、空間を移動して遥かかなたの惑星へ来たと思ったら、実は遥か未来の地球にきていた、ということです。
ここでの宇宙地図は空間を描いたものではなく、時空間の地図であり、クロス番号とはつまり、時間と空間のクロスする座標ということではないでしょうか?
pixerのモンスターズインクは、エネルギー問題に直面した未来の地球の生命体が、タイムマシンを使って過去のエネルギーを奪いに行く物語でした。
これを不思議惑星キンザザに当てはめるならば、恐らく地球がα星へと進化してタイムマシンを発明したのち、未来のプリュク星から過去へエネルギ―や資源を奪いに来る輩がいたのでしょう。
α星は過去を改変されては困るので、貪欲な未来人(プリュク人)がα星の時間軸より過去へ来ないよう監視しているのです。


 物語のラストでは、空間の移動ではなく、時間の遡行によって地球への帰還を果たしていましたが、あれは空間転移だけでは説明ができないように思います。恐らく、裸足の男がα星を抜けて過去の地球へタイムトラベルしたことに気づいたα星の人間が時空改変をし、そもそもマシコフ達が異星人と遭遇していない時空平面が作られたと考えた方が自然だと思いました。

天国と地獄
 また、α星は天国、プリュク星は地獄に似ていると思いました。プリュク人が地球へ行くことは、現世へ帰るために蜘蛛の糸を昇ることと同じです。

 マシコフ達はまだ罪を追っていないために現世へ戻ることができました。しかしプリュク人は、自らの貪欲さによって地球を荒れ果てた砂漠に変えてしまった罪があるために、元の世界へ戻ることは許されません。プリュク人は植物に変身し、汚れた空気を浄化し続けることで、罪を償わなければいけないのです。

しかしそうなっては、α星の人間もプリュク人と変わらないように思います。別の時空間の人間という資源を搾取して、自分たちの時空間の環境を維持しているわけですから…。その内なる貪欲さがやがて限界を迎え、α星の文明もプリュク星のようになっていくのだろうと思いました。

たまに映画感想を書こうと思います。
良ければまた覗きに来てください。

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