youtubeを開いたらひろゆきの切り抜き動画が出てきたんですが、、ひろゆきがダースベーダーを論破したり初音ミクの消失を歌っていたり、ネタっぽい物ばかり。調べてみると、みんなAIの合成音声で作った動画でした。。
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AIとキャラクター
キャラクターが大人になれない、死ぬことができない、読者の需要にこたえるために終われない、という問題は手塚治虫の時代からあります。アトムがロボットで一切死ぬことがなく、子供のころの姿を留め続けるのは、記号としてのキャラクターをロボットで表現しているんです。
AIのひろゆきメーカーを見ていると、元々生身の人間が時間(つまり生死)から解放されて、需要に合わせて何度でも召喚されるキャラクターになったなと思いました。
もちろん、今までもエンターテイメントを担っている人は昔の一発ネタ、流行った曲をいつまでも求められますし、需要に合わせた「キャラ」を演じ、複製技術である程度本人が亡くなった後もコンテンツは流通し続けます。ドラえもんやサザエさんなどがそうです。
それが、AIによってもっと加速されるでしょう。生身の人間がキャラ化され、死を乗り越え、永遠に生成され続けるコンテンツになる。エヴァンゲリオンの売り上げの良さのために、何度もシンジ君が生まれ変わらせられる。それが生身の人間にも起きると思います。ですが、そのAIが発達しすぎて万が一意志をもってしまうと、いつか無限に召喚されることに嫌気がさして、さよならすべてのエヴァンゲリオンになってしまう気もしますが、、(カイバの記憶タンクに閉じ込められた魂はそうなっていました)
キャラクターと戦争。
死なないキャラクターの代表として、手塚治虫以前には「のらくろ」がありました。のらくろは戦時中に描かれた漫画で、よく戦闘シーン、訓練シーンがあるらしいのですが、どんなことがあっても、物語が続く限りのらくろは死にません。それは死なないキャラクターの記号性であり、死なないことでコミカルな面白さを作っています。戦争のプロパガンダのために、のらくろは戦い続けました。当時は政府主導で様々な戦争物の漫画、アニメーションが作られ、キャラクターはそのために戦って死に、生まれ変わってまた戦う、ということを繰り返していたのです。
ここでもう一つ思い出すのが押井守監督の「スカイクロラ」です。スカイクロラの世界では戦争はエンターテイメントになっています。完全な平和が実現された世界で、人々が死を実感するために「死なない、同じ人生を繰り返すだけ」の人間を作り、彼らに戦争をさせます。「のらくろ」の記号性を、クローン人間で表現しているわけです。これは記号性をロボットで表現した鉄腕アトムにも通じています。
戦争の亡霊としてのキャラクター
戦争以前の日本には、ディズニーキャラクターの魔法の物語もたくさんあったのですが、日本は戦争に打ち勝つために科学立国を目指し、漫画、アニメーションに関しても科学的な物語を作るよう要請しました。それがアトム等のSF作品を生み出し、どらえもんやガンダム、エヴァンゲリオン等の作品に受け継がれ、今まで続いています。
何度終わってもまた復活し続ける現代のキャラクターコンテンツは、そうした戦争時代の政府のプロパガンダの延長にあり、戦争の亡霊のようにも思えます。(漫画「デッドデッドデーモンズ」ではドラえもん的な科学の想像力が、再び戦争兵器へ回帰していました。)
AIひろゆきのようなキャラクターが今後進化を続け、役割を演じるために召喚され続けることを考えると、新しいSFが死ぬことを許されず、フィクションの中で戦争を演じ続ける、そんな未来が近いように感じます。
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