ちいかわ。皆さんは見ていますか?
ゆるい絵でパッと見ファンタジーな世界なのかと思いきや、実際見てみると不穏な空気が漂っている、独自の世界観がある。
ちいかわ達はとってもかわいいのに、世界はかなり過酷。
動物なのに言葉を覚えて話したり、話せない子もいるんだけど、資格の勉強をして、働いて、物を買い、人間のような生活をしている。しかし帰った家はボロボロの廃墟のよう・・・。毎日行く市場や仕事を仕切っているのは人間だけど、ちいかわたちの前では常に鎧を身に着けていて実際の姿はわからない。ちいかわと人間は、たまに現れる化け物、キメラを共に対峙していて、共通の敵があるせいか、特にお互い仲が悪いということはない・・・。
ここでは、言葉を話す獣達について考察していく。
・淘汰による進化説
一体なぜ動物たちは人のように生き、人の言葉を話すのか?
まず思い出すのはけものフレンズ。けもフレではパークと呼ばれる人工島の中で、人のように手足を自由に操り、人の言葉を話す動物が登場する。パークではセルリアンという人工生物が徘徊していて、セルリアンに吸収された動物は記憶を失いリセットされてしまう。これが進化圧になり、知恵の働かない動物は淘汰され、知恵を得た動物だけ生き残った。これが動物達のヒト化を促したと考えられる。
これは2001年宇宙の旅で、超文明が原始地球に残したモノリスが、サルのヒト化を産んだことと共通する。小説版ではモノリスはスマートフォンのようなインターフェースをしていて、それを操った、対処した猿だけが知恵をつけ、人に進化したとされている。
・遺伝子改造説
ちいかわにはキメラと呼ばれる化け物が登場し、皆それを退治している。
けものフレンズと照らし合わせると、動物達はこれらのキメラと戦闘するうちにヒト化したのではないかと考えられるが、別の考え方もある。
実は、キメラはちいかわたちが成長したあとの姿であり、それを知らないちいかわ達は成長した仲間達を倒していることが後々示される。ちいかわ達はぱっと見単一の動物の種に見えても、成長するにつれて他の動物の遺伝子が発現するようだ。
でもそもそも、キメラが複数の動物の遺伝子か組み合わさっているのはなぜなのか。ここで思い出すのは、ゴジラだ。
ゴジラ対ビオランテでは、ゴジラの遺伝子と植物、そして人間の遺伝子を合体させたキメラが登場する。放射能に耐性があり、植物の体を持ち、人の心を持つ怪物。
岡田斗司夫は、シンゴジラのゴジラは、冒頭船の上で姿を消した牧本教授自身なのではないかと話していたが、ゴジラ対ビオランテですでにゴジラと人間のキメラが登場していることから、多分この説であっていると思う。
そのうえで、ちいかわ達が人を含む様々な生物の遺伝子を合成された存在だと考えると納得がいく。ちいかわはキメラ化すると、もうひとつ心がある、と言って徐々に狂暴になっていくが、ビオランテも、ゴジラ化する過程で少しずつ人の心を失っていく。
キメラ=ゾンビ化説
このキメラの容姿を見て思い出すのは、sirenの羽屍人だ。虫のモチーフと、ゾンビ化して精神が変化していく様子が共通する。
ちいかわ達がゾンビ化した自分達自身と戦うのは、進撃の巨人と類似している。ゾンビは半分不老不死みたいなところがあるけれど、ゴジラも死を克服している可能性があるため、次々と進化するちいかわ達にもその可能性がある。
魔法の力説
森の魔女の魔法で、ちいかわが怪物になってしまうシーンがあるが、そこでは電子的なデバイスは描かれない。それに人間達も鎧を着ているあたり、時代は中世に近い。
にもかかわらず、カメラやチャルメラの様な日用品、工業製品はどこかから供給され続けている。
そして、建物は老朽化してひびだらけになっている。
ここから考えられるのは、pixerの世界観に通じる点だ。
pixerは沢山の映画を出しているが、実はどの映画も一貫した一つの世界を描いていている。
あの世界には科学技術だけではなく、生物に知恵を与える特殊な情念のエネルギーが存在していて、カーズで人類が滅んだ後は車が社会を築き、walleでロボットが知恵を得て、その友人は知恵を持つゴキブリだった。そして長い年月が経ち、人もロボットも滅んだ後には、情熱のエネルギー文明が発達して地球にはそれを栄養に生きるモンスターが増え、彼らはモンスターズインクとなる。
ちいかわで生物の自律進化を促しているのはその情念のエネルギーのように感じる。科学では説明できない現象が起き、それが生命活動にも影響している。
かつての科学で作られた産業文明は滅びているが、日用品の自動生産ラインだけは残り、食べ物、チャルメラなどは供給され続けているのだろうと思う、
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