人間のこころは、今のところ目に見えないもの、観測できないものとされている。そしてもう一つ、この世界で観測できないとされているもの、それはブラックホールの向こう側だ。
人の魂や死後の世界なんかは、科学的にこの世界には存在できなくとも、ブラックホールの向こう側にならあったっていい。ブラックホールは性質上どんな物質も逃げることができないため、ブラックホールの向こうに何があるかを示す情報すらも中から出てくることはない。誰も向こう側を確かめて戻ってこれない限り、可能性は残されている。
では実際に、ブラックホールの向こう側に死後の世界や、天国や地獄が広がっている可能性があるのか、もう少し考えてみる、
1、ブラックホールの向こう側の世界
ホログラフィック理論によると,ブラックホールの向こう側では、実は飲み込んだもの全ての3次元情報がブラックホールの表面、つまり二次元平面に保存されている。これは洞窟の影、プラトンのイデアにも通じる。
そしてさらに、映画インターステラーに登場するような穏やかなブラックホールの場合、人間がブラックホールに吸収されても死ぬことがない。
つまり、この場合吸い込まれた人は、ブラックホールの表面に絵のように描き込まれるのだけど、そのまま生きているのだ。まるで漫画の紙の上に描かれたキャラが生きているという感じ、いや、ど根性ガエルがペシャンコになっても生きているような…。
2、ブラックホールの役目
もし宇宙に僕たちよりももっと高度な知的生命が溢れていた場合、ブラックホールは処分場、もしくは発電機、あるいは記憶装置として用いられる。処分場の場合は、宇宙にあってはいけない邪悪なものを放り込む為の場所になる。タイトルに死後の世界とかいたのは、それがつまり、地獄なのではないかということ。他に発電の場合だと、失ってもいいような、いらない存在の墓場、ゴミ焼却炉のような。。記憶装置の場合は、永遠の過去を保存するためのデータベース。
ふと思い浮かべる、劇場版ユニコの、魔法の島でのワンシーン。。遠い遠い、永遠のさらに果てにある海の浜辺。さざなみが立ち、砂場にはたくさんの行き場のない物が流れ着く。かつて人に使われ、主人を失ったもの達の墓場。そしてきっと、誰も人がたどり着いたことのない浜辺。数千年の時の流れの中で、浜辺に流れ着いた人形にある日魂が宿る。
ここでの浜辺は、ブラックホールの処分場としての役割と、データベースとしての役割の両方をになっている。ゴミという点では、焼却炉の発電も近いだろうか。
絶対にたどり着けない地の果てという設定も、決して知ることのできない事象の地平面というブラックホールの性質にも通じるものがある。
シンウルトラマンでは太陽系全体を滅却できる破壊兵器ゼットンを止めるために、ブラックホールにそれを吸い取らせた。そしてそれを起動するためにウルトラマンは犠牲になり、吸い込まれた。
地球で処分に困っているのは放射性廃棄物だが、それらもブラックホールのように、見えない場所=地下に封じ込められる。
AKIRAでは、暴走して周囲の物質を体内に吸収し続ける鉄雄を封じ込めるため、アキラはブラックホールを通じて別の宇宙に飛ばされてしまった。
現実世界の未来予想でよく話題に上がる話でストレンジ物質という危険な存在がある。それは僕たちや地球を構成する物質とは違う成り立ちをしていて、僕たちの物質よりも安定している。万が一僕たちの地球に飛来した場合、周囲の物質を次々にストレンジ物質に変換してしまい、あっという間に地球全体がつくりかえられてストレンジ物質の塊になってしまうというもの。これも、確率的にはいつ起きてもおかしくない事態で、解決策は、地球に来る前にストレンジ物質えをブラックホールに捨てることだ。
こうしてみていると、どのエンタメでもブラックホールにはいらないもの、厄介なものなど、不幸を産みそうなものばかりが行き着くことになりそうだ。必要とされない者たちが行き着く先、地獄としてのブラックホールがここにある。
3、僕たちが生きているこの世界はブラックホールの中かもしれない
1で言ったように、たとえド根性カエルがブラックホールに吸い込まれて、その星の表面にぺしゃんこになっても、本人はなにも違和感なく生き続ける。では、今なにも違和感なく生きている僕たちは、本当に3次元空間に存在しているのか?この宇宙は、実はド根性カエルのように、平面で描かれた幻のようなもので、中に生きている僕たちが気づいていないだけなのではないか?という疑問がわいてくる。
これは先ほど触れたホログラフィック理論ですでに言われていて、実際、僕たちが、平面の絵の中の住人である可能性はかなり高い。
この世界は幻想なのか(後編) | くらしの良品研究所 | 無印良品 (muji.net)
4、この世界は地獄なのかもしれない
では、もしこの世界がブラックホールの表面に堆積したごみの山、不要物の山なのだとしたら、この世界は宗教にかいてあるような地獄なのかもしれない。ビックバンは創造の始まりだというが、この場合は初めて罪のあるものがこの世界に産み落とされたのがビックバンだということになってしまう。
いや、楽園を追放されたときがそうなのか。。
生きることは苦だというが、もしかしたら、この宇宙の外には本質的な世界があり、罪人は地獄の穴、つまりブラックホールへ落され、輪廻転生の罰を受ける。この平面世界こそが洞窟の中の影であり、蜘蛛の糸をたどって上った先はこのブラックホールからの脱出を意味するのか・・?。
この世界は基本すべてが循環しているため、憎しみも、戦争も、あらゆる負の連鎖はこだまし続け,絶えることはない。しかし、神聖な神の世界に、もしもそういった負の連鎖をうむ者が生まれたら、神がそれをブラックホールへ追放するのは自然なことだ。なぜなら、ブラックホールへ入れてしまえば、そこから何かの力が跳ね返ってくることはないからだ。この世界で唯一、物事を断ち切れる場所が、事象の地平面になる。宇宙の循環はそこで断ち切られ、罪は永遠に地獄のなかでだけ循環する。
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