数か月ぶりにオペラシティに来た。台風の前日で雨も降っていたけど、最終日1日前で中は混み合っていた。
ライアン・ガンダー われらの時代のサイン|東京オペラシティ アートギャラリー (operacity.jp)
ライアンガンダーについて
1976年生まれ。イギリス生まれ。コンセプチュアルアーティスト。国際的に活躍していて、日本では2017年に国立国際美術館(大阪)で個展を開催する。
ライアン・ガンダーの作品 – アーカイブ (ryanganderarchive.com)
最初の展示室に入って、まず真っ白な空間に驚いた。前回千葉雅也の個展を見た時とは広さが全く違って見える。グラファイトの人間のつけた移動の痕跡、さまざまな時間を刻む黒いキューブ、表と裏の重なり合う時計、双子が展示室を歩いているデジャブ、入り口と出口にあるガラス板の時間変化、突如降ってきた巨大な金属質の塊の非日常性、すべてが関係しあっている。
黒いキューブは世界のと人間の色々な時間の尺度を表している。展示室を歩くうちに、世界の人口は100人増え、成人男性のマスターベーションの時間は追わり、シャワーを浴びる時間も終わるが、一日あたりにinstagramを見る時間の目盛りはまだまだ進んでいない。
割れたガラス板には可能性ーーと書いてあった。もう一つ同じガラス板があると思うと、板の上にたばこの吸い殻があった。同じ板だけど、ここには誰かがタバコを吸った痕跡が残される。時間が流れている。すべての時間が3次元的に配置された部屋を、自由に見歩くことができる。この部屋では、可能性に開かれた4次元人になれる。過去の時間を相対化し、未来の選択権を与えられるようだ。
1つ目の展示室を出ると小さな廊下風のスペース。ぐりぐり動く目玉と、機械仕掛けのピクセルアート。キャッチ―で目を引く小作品でちょっとした休息空間のような感じ。ライアンの日常からアートについて考えるテキストを眺めて、少し共感して、落ち着く。
2つ目の展示室には巨大な星の絵、拡張される円のデザイン。文明の痕跡、椅子があり、倒れて雪の積もった椅子。雪に埋もれる。息の浅いネズミ。大きな時間の流れ、人間の文明、デザインと、やがて死にゆくこと。僕たちの、始まりと、今、そして未来。
そして、BBCで放送されたライアンのドキュメンタリー
ライアンは「僕はライアンでいることに満足している」という。
でも、前まで不快感を示した自撮りに今は慣れてしまったという。それは誰しもが思っていることだ。
であるなら、このドキュメンタリーの中でライアンが不快感を示す、自身の拡張さえも、いつかは慣れてしまうのだろうか。
二つの展示室と廊下に流れるドキュメンタリー。それぞれに関連性があり一つの物語のようでもある。
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