映画②最近見た映画/現実と虚構

この一か月で見たもの。
シンウルトラマン/トゥルーマンショー/ベルリン天使の詩/みなしごハッチ/チェンソーマン/天使の卵/劇場版パトレイバー・・・

そういえば久しぶりに押井守作品を見返していた。押井守がルパン三世の幻の最終回を予定していたらしく、ルパンは実は虚構で存在していないという落ちらしい。その時スポンサーの許可が下りず、予定されてたネタは天使の卵やパトレイバー、攻殻機動隊に引き継がれたみたい。

天使の卵ってずっと意味が分かってなかったけど、amazonのレビューと押井守のインタビューを読んでたらようやくわかってきた気がする。ノアの箱舟が陸地にたどり着かず幽霊船になった世界、ということなんだけど、冒頭のフラットな世界に降りてくる飛行船の正体がわからず、、。あの船が宇宙船なら、実は箱舟は宇宙船で、宇宙船の住民が夢を見ていてその世界が劇中の街なのではと思った。ただそうなると物語の最後、巨大な島とそこから飛び立つ宇宙船の関係性がわからないけれど。。幻の魚の存在は、夢の中だったからということで説明できるかな。
パトレイバー映画での、演出された戦争の話を聞いていると、「スカイクロラ」を思い出した。戦争を生活から追い出し、虚構の中で生きている人間に突き付けられる現実。スカイクロラでは人間は戦争を維持しつつ、死なないクローン人間に任せている。天使の卵での少女も、同じように内側に閉じこもっている。少年は外部から現実を突きつける存在だった。

僕にとっての現実は何だろう。

-primeで「天使の卵を見る」

幻のルパン最終回では当時東西冷戦で一番現実味を持っていた存在、核爆弾によってルパンの非現実性を明るみにする、そういう話だった。今の世界、ロシアとウクライナの戦争が僕にリアリティアをもたらすだろうか?福島の震災は僕の学校の校庭にひびを入れたあの時の記憶は現実だったが、今ではもう昔の記憶だ。AIとかフェイクニュースとか、そういうもののもたらす偽の現実、そういうのをアメリカの選挙の話では聞くけど、僕の生活ではそういうのは虚構としてもまだあまり成立していない。。 それよりも Vtuberとか、キャラなのか人間なのかわからない感じとか。。僕たちの投票、とか発信が、世界に何の影響も与えていないこととか、世界が霧のようになってきたこと。正しさもなく、多様性もありつつ、曖昧な世界。リアリティを感じない世界。youtubeを続けてみているうちに時間が過ぎショート動画とかいろいろな加速するコンテンツに時間を奪われた後のダメな感覚。うーん、上げていくと段々鬱の人みたいになるからやめておこう。。段々虚構に埋没している。。

僕はSFが好きだし、例えば機能のブログではシンギュラリティのことを書いたけど、あれは少し前まで虚構のはずだった。そういうことがもし現実になってしまったとき。 どうなるか?

昨日清宮質文の文章を読んでいた、彼はシュルレアリスムや象徴主義の画家たちのモチーフを多く引用した版画家であり、外部の世界ではなく、人間の内なる世界と、その世界の住人であるオバケたちを描いていた。オバケとは、人間に時代を超えて普遍的に情を伝達する存在のように僕は受け取った。それは文字や詩、絵画の中にある普遍的、集合的無意識のようなもので、ベルリン天使たちが自分たちをゴーストと言ったことに通じる。19世紀では幽霊は4次元人だと思われていたが、まさに4次元世界における、コジコジのメルヘンの国のような情報たちが闊歩する世界。
そういった内的な世界は今の時代あまり認められているようには思っていなかったので、ちょっと驚いた。他者の存在が大事だし、内面の世界はちょっと引きこもりな感じがして、とてもそれを肯定しているなんて人には言えなかった、僕は、でもそれを肯定する人もいるのかと思い安心した。清宮さんの絵には。

シンギュラリティが到達したとき、人類に普遍的な情を伝達する記号の集合体っていうのはAIが作れるようになっていく。僕たちが普段接しているスマートフォンはそのためのインターフェースになっている。押井の言う世界が虚構化する過程は、僕たちがその普遍的な4次元世界に突入しつつあることを意味していると思う。AIの中にたくさんの情報があつまるように、今日の世界は人間の脳内でも、高速に流れる多くの視点から見た多くの情報が集約され、普遍的な世界の全体像が構造主義に浸透で形成されている。その多視点性はキュビスムのように4次元的世界に変化しつつあるように思う。

ただ、そうなるとみんなが卵の中にいるような感じ。それでいいいのかな。2001年宇宙の旅で進化した主人公が卵の中の胎児になったことはそういう意味なのか。ピテカントロプスになる日も近づいたのかな。 

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