千葉正也「横の展覧会」を見た

shougoartsで千葉正也の個展「横の展覧会」を見た。千葉正也の作品のコンセプトはあまりわかっていないのだけど…でも好きだ。以前オペラシティアートギャラリーで作品を見たのが初めてだったと思う。

遊び心と、配置の気持ちよさ、油絵具の塗り方の多彩さ、2次元と3次元を行き来する世界の目まぐるしさが、見ていて気持ちいい。

今度の作品は、まず一枚のタブローがあり、そしてそれを縮小したものが真ん中に配置され、あとは余白が大きくとられたもう一枚の作品と、その2セットで構成されていた。余白部分には小さなQRコードが貼ってある。それをスキャンすると映像が流れる。

横とはどう言う意味だろうかと思ったけど、会場には、床にも壁にも天井にも、あちこちに作品が置かれ、その天地も皆バラバラになっている。だから、ある作品を見て、次の昨日を見ようすると、横向きになって見えたり、逆さまになって見えたり…。あの壁の、あの天井の絵を正面から見るにはどの方向から見ればいいのか…?と混乱した。もしかしたら、その状況が横の展覧会なのか?

また、三次元物体を記号的に配置したイメージと、日本の能をスケッチしたものとが一つのキャンバスに同居していて、北脇昇の作品を思い出した。北脇昇も今回の千葉正也と同じような表現手法をとっていて、記号的なモチーフと、たまに日本古来の文化的なモチーフがミックスされる点で類似している。

追記:千葉正也のインタビューをyoutubeで見てみた。

とても面白い。

例えば一人で散歩してて木が5本くらい生えてて、右の2本がなんかいいなーという時、その基準は、ずっと触れてきたドラマとか、映画とか、マンガとか小説とかから来ている。その連携とか、人が生きてきて視覚的な情報が連動している、思考の癖が絵画。描かれるものと描かれないものもそう。・・と話していた。

絵画と鑑賞者について、低俗でフレンドリーな多様な関係性に新しさを感じているそう。僕も何も知らずに見ていていいのかなと思ったけど、これは安心した。

ペットの亀が作品によく登場することについて、ジョジョの奇妙な冒険の中で、亀の中に時間が閉じ込められていた話や、カメを見ていると時間が変化することなどを話していた。漫画や、実体験を自然に話しているのが新鮮に感じた。。

作品に言葉が書いてあることについて、言葉はいろいろなものを接続できるのに、使わないのもなと話していた。今回qrコードがあったのも同じ意図なのかもしれない。

恩師は辰野さんだったようだ。戦後(?)の日本美術の巨匠だ。表現すべきことと、表現すべきでないことについて、教わったという話だった。言えないことが言えるのが作品でもある。ヒップホップのように。ただ、snsを見てイラッとしたり、魔が刺す時、その時は辰野さんな言葉を思い出すと話していた。これは誰しも共感する話だと思った。

追記:

・インタビューを見てからまた「横の展覧会」について考えると、千葉正也の考える情報の連鎖、つながりが、横へのスライドを意味しているように感じた。絵画を見て、絵画のコピーが横に並んで、そしてQRコードからスマートフォンでwebにとんで、北脇昇を思い出して、見る方向を変えて・・・。

次々に思考と行動と視線をスライドさせられる。これが横の展覧会・・・?と思った。

・一枚目の写真に写る、画面上の立体物。♡型の物体。そういえば、これは以前オペラシティの個展の時にあった立体作品と同じ形状だ。確か画集の表紙にもなっていたから覚えている。この物体に関する映像もあったような気もするが、あまり思い出せない・・、ここにも、時間を超えた横のつながりがあるのかな・・、違うか・・。

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