ウテナのラストを見返して思ったこと。学園とショッカー、革命と世界の外側。

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少女革命ウテナでは、形而上学的な学園がテーマになっている。





学園の理事長の妹、姫宮アンシーは兄に忠実に従う人形だった。アンシーはバラの花嫁と呼ばれ、選ばれた生徒は花嫁を巡って決闘を行う。主人公ウテナは、学園の中で行われるバラの花嫁を巡る決闘に巻き込まれてしまう。正義感のあるウテナは、道具として利用される花嫁を救うべく、学園のシステム全体と戦うことになる。

ウテナとアンシーは、自分たちの所属する学園という組織を改革したかった。だが、それは叶うことはない。いつまでも兄がその頂点で王様気取りをしているからだ。二人は革命を遂行するために、学園を飛び出し、外の世界に自分たちの居場所を探し求める。

前回→シン仮面ライダーのラストシーンと少女革命ウテナ | てつてつがく (tetutetugaku.com)

ここで前回話したバッタオーグとの闘いだけでなく、兄と妹、組織とそこから抜け出したものとの闘いも共通していたことが分かった。また、革命という言葉もキーワードになる。

仮面ライダーの原作には、悪の組織ショッカーは、日本政府と裏で繋がっていたことが描かれている。組織から抜けた仮面ライダーは、反政府、つまり革命を志す者でもある。実際、安保闘争に失敗した日本の過激派は、朝鮮半島など海外へ脱出し、そこで理想郷を作ろうということもあったと思う。山本直樹の「ビリーバーズ」「安住の地」ではその流れが描かれている。

家族間でのそうした支配と組織の脱出で他に思い出すのは、銀河鉄道999もある。謎の美女メーテルは少年テツロウと旅をするが、あの世界では、悪の支配者が銀河全体を包もうとしていた。メーテルは元々宇宙を統一する側だったが、そこから反逆しようという話だったと思う。1話ではメーテルが男から支持を受け、テツロウを監視させられているシーンが映る。

銀河鉄道では労働者階級は列車に乗れない、機械の体が買えない、という貧富の格差が描かれていた。ただ、実際には、機械の体を買っても人は幸せにはなれない。悪の支配者が、人々を支配するために世界の機械化を促しているだけだった。

ショッカーでも、人々を支配するために、数字で人間を管理しようという情報社会のディストピアが描かれていたらしい。

戦後、アメリカからやってくる欲望と、富と、支配。その力のもとで生きつつも、その社会に疑問を感じ、社会を革命しようとする姿勢。。それが、この時代の、労働者と支配への抵抗の空気感を表してると思う。

●エコールとの関連性

また棺のモチーフが登場した。人の生まれ変わりに、棺はよく登場するらしい。

そして、電車ではなく、ここでは車で、世界と世界を移動する。

エコールでは、少女の性の目覚めを象徴してその移動が描かれる。森の学校に通う少女の中で、初潮を迎えた生徒だけが退学できる。

ウテナでは、最後に車に乗って、王子の勢至を振り払って抜け出すときに、赤いバラの花びらが散った。ひょっとすると、あれは少女たちの初潮を表しているのかもしれないと思った。新しい世界=種を産み落とすことと、血を流すこと。。

世界の殻を破ることで、外の世界へ行ける。卵の中でひなのままではいられない。大人の生体へ変化していく二人。

こう思ったのは、「天使の卵」のラストシーンで白い花びらが舞い散る場面。これが少年の射精を表していると、監督の押井守のインタビューで読んだからだ。花びらが画面いっぱいに散る演出に共通点を感じた。そういえばそもそも花は植物の性器だ。

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