筒井康隆「アフリカの爆弾」/メモ

筒井康隆を初めて読んだ。エロスとsfと、日本の学生運動、薬物、そういうテーマがたくさんでてくる。

殺伐とした男女関係が、男を孤独に追い込んでいる。

筒井康隆は、山本直樹やその師匠の吾妻ひでおが影響を受けた小説に挙げていた。

読んでみたら、本当に彼らの漫画のような話ばかり。

山本直樹でも、吾妻でも、エロ漫画なんだけど、彼らの漫画はなぜかフェミニズムの人たちの弾圧の対象にはならない。それは、山本直樹の場合は、女性が意思をもっているからだと、男性の言いなりとして描かれているわけではないからだと、以前何かに書いてあった。ユリイカ?)

筒井康隆を読んで納得した。彼ら漫画家の源流にある筒井の描く女性がこんなにも男性に対して距離を持った存在なのだから、それは男性迎合では全然ないわけだ。

今読んでいた本は、「アフリカの爆弾」。

半分ほどきたが、どの物語でも男は女を信用していない。女も男を信用しない。それぞれが自立した印象がある。次に何をしでかすかわからない、緊迫がある。

萌えみたいな、変なフィルターを通して見るような感じがない。恋もない。

1、台所にいたスパイ

町中の主婦、旦那、学生、孫、八百屋まで、全ての人間が各国の諜報員としてかつどうしていた。一億総スパイ国家の誕生だ。主人公は世帯持ちだが、家族はみんな他国のスパイになってしまった。いつ自分の会話を盗み聞きされているのか。。なんなら家族は実はずっと前に殺されていて、そっくりの替え玉にすり替えられているのだ。。

最終的に多国間の全面戦争にはめられた主人公は家族全員、町民全員に狙われる。仲間も全員殺害された主人公は家族を全員、町民を全員打ち殺した。死体の山でひとり孤独だった。

しかし、家に帰るころには、本部から派遣された、どこの誰とも知らない、新しい替え玉の家族が家に待っているのだ。

2脱出

「ビルの一室で足音を待つミッキー。彼をつけねらう国際諜報員・・・。諜報団の黒幕の大物政治家を殺してしまったミッキーは、いのちをねらわれていた」テレビで流れるドラマを眺める塩谷正三。かれは、ミッキー立川を演じる俳優だ。塩谷は、ミッキー立川をやり始めてからスターの座に名を連ねてしまい、今ではどこへ行っても彼の姿がテレビに映し出されていた。

みんなに顔が知られてしまい、今ではヒマもプライバシーもない。

塩谷はバーでコーヒーを飲んでいると、ウェイトレスの女性が声をかけてくる。ミッキー、あの後ろの席の男はあなたをつけているわ。彼は刑事です。気をつけて、と。

そんなバカな、いったい俺が何をしたんだ・・・と後ろを見ると、確かに男がこちらの様子を窺っていた。そういえば、確かに政治家を一人殺した・・・いや、あれはドラマの中のことじゃないか・・・。

ウェイトレスがまたきた。うまく逃げてね、と。

いったいなぜ俺は追われるのだ?何をした?食料のかっぱらい・・?いやあれも、ドラマの中だ、あとは、、視聴率・・・いや、なぜそんなものに追われなきゃいけないんだ!!

・・・という、ブラウン管のテレビの中に囚われた男の話。。結局男はどんどん、物語の中に入り込んでいってしまう。最後には、刑事に打ち殺され、天国の門が開く。。

3露出文明

ビューフォンというテレビ電話が社会問題化する話。今のインスタ女子みたいなものだろうか。

最後のセリフはこんなだ、

おれにとってーつまり男にとって、世の中にまた一つ悩みの種ができたんだなあー私はそう思った、こういう調子で、次第しだいに女の住みやすいーつまり男の住みにくい世の中になっていくのだ。

知らないぞしらないぞ。

4メンズマガジン1977

中盤を抜粋

10年前ーつまり、``1967、8年ごろから女性の権力がやたらに強くなってきて、男性が女性を敬遠し始め、女性にとっては今や空前の結婚難時代となった。私が編集している男性雑誌」イリュージョン」でも、「いかにして女から逃げるか」だとか、「女と結婚しなくて済む方法」とか「最も安上がりな離婚の仕方」とか「女はこうして男を騙す」「あなたは女性に狙われている」などという特集をやると、たちまち4日足らずで売り切れてしまうぐらいだ。

ここでも男性と女性の分断を強く感じる。

この本は1970年のものだから、「10年前が1967年」なら、これは未来を描いているんだろう。実際、戦後高度成長が始まって、バブルで女性たちの弾けたイメージについていけなくなった結果が、エヴァで静かな綾波を求めることにつながっていくのかなとか・・・。思う。

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